アフリカ・ケニアのライキピア地方において、現地時間3月4日(日)18時(日本時間は3月5日0時)より、「アフリカ斉燈護摩法要併せて灯籠流し (Fire and Water Ceremony)」を奉修しました。真如苑がアフリカ大陸で法会を修めるのは初めてのことです。執行にあたり、現地の部族の方々と共に法要を作り上げ、 在家である修験の伝統を汲む「斉燈護摩」(真如苑では「柴」ではなく、「斉」の字を用いて、ひとしく救いが渡る願いをこめています)を、新しいスタイルへ と展開し、厳修しました。
法要は、3月2日に国連環境計画(UNEP)本部(ケニア・ナイロビ)にて行われた「環境と癒し」の会議の主旨に基づく要請を受け、苑主・伊藤真聰 を導師に奉修することが決定されたものです。アフリカ大陸を南北に縦断する巨大な谷である大地溝帯(グレート・リフト・バレー;Great Rift Valley)を臨むライキピア自然保護区内で執行されました。ここはUNEP本部のあるナイロビから車で約5時間北上した場所にあり、人類発祥の地とい われています。
人類ならびに生命の起源に遡っての有史よりの一切万霊廻向の祈り、また利他作善、自然・環境保護、生態系保全などの「地球済摂」の祈りを深め捧げました。
「斉燈護摩」が在家の法儀にルーツを持つところから、この法要のコンセプトのひとつは、現地の一般の方々と創り上げるということでした。
護摩の本尊として安置された大涅槃像は、地元の部族の方々が大切に守ってきた「聖なる赤土」を使用し、現地で制作されたものです。
とりわけ現地から強く要望があったのは、斉燈護摩の所作への参加でした。それは斉燈護摩の所作は斧や刀など武具を使って道場の結界を作るところから始まり ますが、闘いや狩りで人や動物の命を損なう武具を、浄めの法具に転換するというコンセプトを多くに共有したいという願いがあったからです。近年もなおつづ く部族間の衝突を経験している地元部族の方々が、その所作へ参加されました。
その他、護摩太鼓にかわって地元のパーカッションで、願文をはじめ奉読される言葉はスワヒリ語や英語で唄い上げられ、さらにこの場に世界から集まった方々が情景を共有できるようにするため、護摩と涅槃の情景はダンスで表現されました。
環境への配慮から、柴には成長の早い植物や伐採済みの木材を使用するなどの工夫も施されました。
また灯籠流しでは、亡き人を埋葬したところに樹を植えるという現地の習慣から、大きな灯籠に樹を載せて、そこに世界から集まった宗教指導者、地元の部族の方々が文字や絵で込めたメッセージを託して流されました。